100万円は現実的?個人エステサロンで平均売上から逆算するメニュー設計

この記事の監修者

㈱イレブン技術商品部 部長
インストラクター
村上 琴音(ムラカミ コトネ)

株式会社イレブンで商品開発とインストラクターを担当。資格と現場経験を活かし、個人サロンの成長を支援しています。

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個人エステサロンの開業は多くの女性にとって夢の実現ですが、「本当に食べていけるのか」「平均売上はどれくらいか」という不安はつきものです。本記事では、個人サロンの平均的な売上目安から、月商100万円という壁を突破するための具体的なメニュー設計、KPI管理、そしてリスクヘッジまでをコンサルタント視点で解説します。数字への苦手意識をなくし、あなたの理想とするサロン経営を現実のものにするためのロードマップを一緒に描いていきましょう。

目次

個人エステサロンの平均売上はどれくらい?目安と考え方の全体像

個人エステサロンの売上は経営スタイルによって大きく異なりますが、平均を知ることは事業計画の第一歩です。漠然とした目標ではなく、根拠のある数字を持つことが、長く愛されるサロンを作る土台となります。ここでは、売上の基本構造と業態別の目安を整理し、現実的な目標設定のヒントを提示します。

売上の基本式(客数×客単価×来店頻度)と必須KPIの定義

サロン経営において「売上を上げたい」と願うだけでは不十分で、売上を構成する要素を分解して考える必要があります。売上は「客数 × 客単価 × 来店頻度」という掛け算で決まるため、どの要素が不足しているかを特定することが改善の近道だからです。例えば、新規集客ばかりに力を入れても、リピート率(来店頻度)が低ければ、穴の空いたバケツに水を注ぐような状態で疲弊してしまいます。まずはご自身のサロンの現状をこの3要素に当てはめ、どこがボトルネックになっているかを数字で把握することから始めてください。

プライベート・自宅・レンタルサロン別の平均売上レンジの目安

開業形態によって家賃などの固定費が異なるため、目指すべき売上レンジも変わります。以下に、主要な3つの形態における収支の特徴をまとめました。これを目安に、自分の目指す収入とリスクのバランスを確認しましょう。

【サロン形態別 収支・特徴比較】

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形態平均月商目安固定費(家賃)メリットデメリット
自宅サロン20〜50万円0円〜リスクが最小、利益率が高い生活感が出る、単価を上げにくい
マンション
(賃貸)
50〜100万円8〜15万円高単価化しやすい、ブランディング可固定費が重い、初期費用が高い
テナント
(店舗)
100万円〜15万円〜認知・集客力が高い、内装自由初期投資・固定費が最大、撤退リスク大
レンタル
(シェア)
5〜30万円都度払い副業から始めやすい自分の城感が薄い、予約枠の制限

ご自身の生活スタイルや目標年収に合わせ、無理のない形態を選ぶことが、女性オーナーが長く続ける秘訣です。

フェイシャル/痩身/脱毛/マツエク/ネイルの収益特性と回転率

提供するメニューによって、収益構造と時間の使い方は大きく異なります。例えば、ネイルやマツエクは施術時間が長く回転率に限界がある一方、定期的なメンテナンス需要が高くリピートが安定しやすい特徴があります。対して痩身やフェイシャル、脱毛などの機器を使用するメニューは、施術時間の短縮が可能で単価も上げやすく、収益性が高い傾向にあります。体力的な負担も考慮し、高単価な機器メニューと安定収入のハンド技術をどう組み合わせるかが、売上最大化の鍵となります。

イレブンからのアドバイス

「売上が高い=正解」ではありません。「どんな生活を送りたいか」を軸に置いてください。月商100万円でも休みなしで働くのが辛ければ、それはあなたにとっての成功ではないかもしれません。ライフステージに合わせた目標設定が、幸せなオーナーへの第一歩です。

経営形態と立地で変わる年収・利益:シミュレーションで理解する

売上が高くても、手元に残る利益が少なければ経営は苦しくなります。特に女性オーナーの場合、家事や育児とのバランスも考慮し、労働時間対効果の高い経営を目指すべきです。ここでは、自宅サロンと賃貸サロンの収益モデルの違いや、立地による戦略の違いをシミュレーションを通じて解説します。

自宅サロンの月商・粗利モデルと損益分岐点の出し方

自宅サロン最大のメリットは、圧倒的に低い損益分岐点にあります。家賃や通勤費がかからないため、例えば月商30万円でも、材料費や広告費を差し引いた利益が20万円以上残るケースも珍しくありません。損益分岐点とは「売上と経費がトントンになるライン」のことですが、自宅サロンはこのラインが低いため、精神的なプレッシャーが少なく、顧客一人ひとりにじっくり向き合えるのが強みです。まずは固定費を洗い出し、月に何人施術すれば赤字にならないかを計算してみましょう。

プライベートサロンの固定費(家賃・人件費・広告)と利益率の違い

賃貸でサロンを運営する場合、毎月の家賃が固定費として重くのしかかるため、利益構造はシビアになります。一般的に家賃は売上の10〜15%以内に抑えるのが理想とされており、例えば家賃10万円の物件なら、最低でも月商70万〜100万円を目指さなければ手取り収入は安定しません。その分、立地や内装によるブランディングがしやすく高単価設定が可能になるため、ビジネスとして大きく成長させたい場合は賃貸が有利です。リスクとリターンのバランスを見極め、覚悟を持って物件契約に進むことが大切です。

都市部/郊外での客単価・集客単価の相場観

立地によって戦い方は180度変わります。以下の比較表を参考に、あなたのサロンの立地に合った戦略を練りましょう。

【立地による戦略の違い】

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項目都市部・駅近郊外・住宅街
客単価高め(1.2〜2万円)標準(0.8〜1.5万円)
集客コスト高い(競合が多い)低い(口コミが起きやすい)
主なターゲット仕事帰りの会社員、美意識高い層主婦層、地域住民
勝負の鍵Web広告、トレンド、利便性駐車場、人柄、地域密着

自分のサロンがどちらのエリアにあるかを分析し、地域住民の属性に合った価格設定と集客チャネルを選ぶことが成功への近道です。

イレブンからのアドバイス

郊外で都市部と同じような「最新トレンド・超高単価」を打ち出しても、地域のニーズと合わずに苦戦することがあります。逆に、都市部で「アットホーム」だけを売りにしても埋もれます。場所が変われば、勝てる武器も変わることを覚えておいてください。

「月商100万円」に届かない典型的な理由

多くのオーナーが「月商100万円」を目標に掲げますが、到達できないサロンには共通の原因があります。それは技術不足ではなく、経営視点の欠如や仕組みの不備であることがほとんどです。ここでは、売上の壁にぶつかっているサロンが陥りがちな4つの罠について解説し、改善の糸口を探ります。

コンセプトとターゲットが曖昧で差別化できていない

「誰でも歓迎」「何でもできます」というサロンは、顧客から選ばれる理由がなく、価格競争に巻き込まれてしまいます。例えば「30代からの肌質改善」や「産後ママ専門の痩身」のように、誰のどんな悩みを解決する専門店なのかを明確に打ち出すことで、ターゲットに深く刺さるようになります。ターゲットを絞ることは勇気がいりますが、結果として「私のためのサロンだ」と感じてもらうことができ、集客効率と成約率が劇的に向上します。

メニュー設計と価格設定が市場・原価・所要時間に合っていない

安すぎる価格設定は、オーナー自身の首を絞める最大の要因です。「近隣サロンより安くしないと来てもらえない」という不安から、原価や自分の技術料(時間単価)を無視した価格をつけてしまい、働いても利益が出ない「貧乏暇なし」状態に陥るケースが後を絶ちません。価格はサロンの価値そのものです。提供する価値に見合った適正価格を設定し、自信を持って提案できるよう、まずは近隣相場と自店のコスト構造を見直すことが急務です。

集客導線(HP・SNS・MEO・予約)の未整備でCVRが低い

Instagramがおしゃれでも、そこから予約完了までの道のりが複雑であれば、お客様は離脱してしまいます。SNSで興味を持ち、プロフィールから予約サイトへ飛び、空き状況を確認して予約完了するまでのステップ(導線)がスムーズでなければ、せっかくの集客努力も無駄になります。特に、即時予約ができない、料金がわかりにくいといった不便さは致命的です。顧客視点でスマホを操作し、予約までのストレスを徹底的に排除することで、予約転換率(CVR)は改善します。

リピート率・紹介率が伸びない運用(体験止まり/次回予約なし)

新規集客には既存客の5倍のコストがかかると言われており、リピーターが定着しないサロンは常に集客コストがかさみ、利益が残りません。体験メニューを受けて満足して帰宅されても、その場で次回予約を提案しなかったり、アフターフォローの連絡がなかったりすれば、お客様の足は遠のいてしまいます。施術中の会話で次回の必要性を伝え、会計時に次回予約を促す仕組みを作るだけで、経営の安定度は段違いに変わります。

イレブンからのアドバイス

お客様は「安いから」買うのではなく、「自分の悩みが解決できそうだから」買います。売上が伸びない時は、安易な値下げに走る前に、「私はお客様のどんな悩みを解決できるプロなのか」をもう一度言語化してみてください。それが最強の差別化になります。

平均売上を超えるための成長戦略ロードマップ

平均売上の壁を突破し、月商100万円を実現するためには、行き当たりばったりではなく戦略的なロードマップが必要です。客単価、新規獲得、リピート率、稼働率という4つの柱を同時に、かつバランスよく強化していくことで、サロンは次のステージへと成長します。ここでは具体的なアクションプランを提示します。

客単価アップの3手:セット化・回数券・物販クロスセル

客単価を上げる最も確実な方法は、お客様の悩みを深く解決するための提案を行うことです。フェイシャルとデコルテマッサージを組み合わせたセットメニュー、継続的な通店を促す回数券、そして自宅でのケアを支える物販(店販)の導入は、単価アップの王道です。これらは「売り込み」ではなく、お客様の「綺麗になりたい」という目標を最短で叶えるためのプロとしての提案です。メニュー表を見直し、松竹梅のコース設計や、施術と親和性の高い物販品を揃えることから始めましょう。

新規獲得の4チャネル:SEO/MEO/広告/ポータルの役割分担

集客チャネルは一つに依存せず、それぞれの特性を理解して使い分けることが重要です。Googleマップでの上位表示を狙うMEO対策は地域密着型サロンに必須であり、ポータルサイトは即効性があるものの手数料がかかります。自社ホームページやブログによるSEO対策は資産として残り、SNS広告はターゲットを絞った配信が可能です。これらを「短期的な集客(広告・ポータル)」と「中長期的な資産作り(MEO・SEO)」に分けて運用し、リスクを分散させながら安定した流入経路を確保してください。

再来率を高める仕組み:次回予約・LINE配信・口コミ促進

お客様がサロンを忘れてしまう前に、適切なタイミングでアプローチする仕組みが必要です。来店後のお礼メッセージはもちろん、来店サイクルに合わせたLINE公式アカウントでの予約リマインド配信は、再来店を促す強力なツールとなります。また、Googleビジネスプロフィールなどへの口コミ投稿を促進し、お客様の声を可視化することは、既存客のエンゲージメントを高めるだけでなく、新規客への信頼証明にも繋がります。デジタルの力を借りて、お客様との接点を持ち続ける工夫を凝らしましょう。

稼働率最大化:予約設計・同時進行可否・営業時間最適化

限られた営業時間の中で売上を最大化するには、予約枠のパズルを最適化する必要があります。例えば、60分の施術に対して90分の枠を取っている場合、1日あたりの施術人数が制限されてしまいます。準備・片付けの時間を見直し、予約枠を無駄なく設定することや、マシン放置中に別の施術を行うなどの同時進行が可能か検討しましょう。また、ターゲット層が来店しやすい時間帯(仕事帰りの夜間や土日など)に営業時間を合わせる柔軟性も、稼働率アップには不可欠です。

イレブンからのアドバイス

すべてを一度にやる必要はありません。まずは「客単価アップ」から着手するのがおすすめです。なぜなら、今いるお客様への提案を変えるだけで、明日からでも売上が変わる可能性があるからです。小さな成功体験を積み重ねていきましょう。

成功事例① Web導線の整備だけで月商が伸びたケース

多くのサロンが技術研鑽に励む一方で、Web集客の基礎がおろそかになっているケースは少なくありません。ここでは、特別な広告費をかけず、ホームページとGoogleマップ(MEO)の情報を整理しただけで、問い合わせ数が倍増し月商が改善した実例をご紹介します。

Before→AfterのKPI(流入・予約率・客単価)の変化

ある地方の個人サロンでは、Webサイトが古くスマホ対応していなかったため、アクセスはあるものの予約に至る確率は1%未満でした。そこでスマホで見やすいデザインに刷新し、予約ボタンを常に表示させる改修を行った結果、以下のように数字が激変しました。

【KPI改善の実績値】

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指標改善前(Before)改善後(After)変化率
HPアクセス数300 PV/月550 PV/月1.8倍
予約転換率0.8 %3.0 %3.7倍
新規客数2〜3人15人約5倍
客単価8,000円10,000円+2,000円

さらに、メニューの魅力を伝える写真と文章を整えたことで、「この施術を受けたい」と指名来店する新規客が増え、初回から高単価メニューが選ばれるようになりました。

実施施策:HP刷新/MEO強化/レビュー運用のポイント

具体的に行ったのは、ホームページに「地域の悩み」に寄り添うコンテンツを追加し、Googleビジネスプロフィールの情報を充実させたことです。特にMEO対策として、サロン内部の写真や施術風景をこまめに投稿し、既存のお客様に「口コミ投稿でオプションプレゼント」などのキャンペーンを実施してレビューを集めました。最新の情報が常に更新され、良い口コミが並ぶ状態を作ることで、検索ユーザーからの信頼を獲得し、来店ハードルを下げることに成功しました。

再現のコツ|地域キーワード×強み訴求のテンプレ

この成功を再現するためのポイントは、検索キーワードを意識した情報発信です。「地域名(例:〇〇市)+悩み(例:たるみ、産後ダイエット)」というキーワードをホームページのタイトルや見出し、Googleビジネスプロフィールの投稿文に盛り込みます。さらに「当サロンは〇〇市で唯一の〜専門店です」といった強みを明確に打ち出すことで、検索エンジンにもユーザーにも「こここそが探していたサロンだ」と認識させることができます。

イレブンからのアドバイス

自分のサロンのHPを、一度「初めて見るお客様」のつもりでスマホから見てみてください。「どこから予約するの?」「いくらなの?」と迷ったら、そこが改善点です。お客様の指を迷わせないことが、予約への一番の近道です。

成功事例② リピート設計と物販で粗利を底上げしたケース

技術には自信があるものの、リピートに繋がらず自転車操業だったサロンが、仕組みを変えることで安定経営に転換した事例です。施術だけでなくホームケアまでを含めたトータルサポートを提案することで、顧客満足度とLTV(顧客生涯価値)を同時に高めることに成功しました。

施術×ホームケア設計でLTVを最大化する方法

「月に1回のエステより、毎日のお手入れが肌を変える」というコンセプトを掲げ、施術効果を持続させるためのホームケア商品をセットで提案するスタイルに変更しました。施術の最後に「今日の結果を維持するために、このクリームを使ってください」とアドバイスし、商品の使い方まで丁寧に指導することで、物販購入率が向上。結果として、施術売上だけに頼らず、物販による利益が上乗せされ、顧客一人当たりの年間利用額(LTV)が大幅に伸長しました。

会員化(回数券・サブスク)の設計と注意点

リピートを習慣化させるために、お得な回数券や月額制のサブスクリプションプランを導入しました。これにより、毎月の売上見込みが立ちやすくなり、経営の精神的安定にも繋がりました。ただし、特定商取引法などの法律に基づき、中途解約時の返金ルールや有効期限を明確に定めた契約書を用意するなど、法的なリスク管理も徹底しました。お客様にとっても通いやすく、サロンにとってもキャッシュフローが良くなる会員制度は、双方にメリットがある仕組みです。

数字管理:再来周期・RFM分析・離脱アラート

感覚的な顧客管理をやめ、カルテやPOSシステムを活用して「最終来店日」をデータ化しました。3ヶ月以上来店がない顧客を「離脱予備軍」と定義し、季節の変わり目や誕生日月に合わせた個別のDMやLINEを送ることで、休眠客の呼び戻しに注力しました。お客様の来店頻度や購入金額を分析するRFM分析を取り入れることで、優良顧客には特別感を、離脱しそうな顧客にはフォローをと、メリハリのある対応が可能になり、全体の底上げに繋がりました。

イレブンからのアドバイス

物販を「押し売り」と捉えないでください。本当にお客様の肌を良くしたいなら、家でのケアをアドバイスするのはプロの義務です。自信を持って「これを使うともっと綺麗になりますよ」と伝えてあげてください。

平均売上を押し上げるメニューと機器選定の考え方

女性オーナー一人で施術を行う場合、体力と時間は限られた資源です。ハンド技術だけに頼らず、美容機器を効果的に導入することは、単価アップと施術時間の短縮、そして身体的負担の軽減に直結します。ここでは、賢い機器選定の視点をお伝えします。

高単価メニュー(痩身・RF・HIFU等)の特徴と相性診断

キャビテーションやRF(ラジオ波)、HIFUなどの美容機器は、ハンドでは届かない層へのアプローチが可能で、即効性を感じやすいため高単価でも納得感を得やすい特徴があります。痩身ニーズが高いエリアならボディ系マシン、エイジングケア需要が強ければフェイシャル系マシンと、地域の需要と自分のサロンコンセプトに合う機器を選ぶことが重要です。また、マシン施術中は体力を使わないため、1日あたりの施術人数を増やせるというメリットも、女性オーナーにとっては大きな魅力です。

投資回収の計算軸:導入費×粗利×稼働率で回収期間を読む

機器導入は大きな投資ですが、感情ではなく数字で判断すべきです。以下のような計算式で、現実的な回収プランを立ててみましょう。

【200万円の痩身機を導入した場合の試算】

  • 導入コスト…2,000,000円
  • 1回あたりの施術単価…15,000円
  • 1回あたりの原価…500円(ジェル代等)
  • 1回あたりの粗利14,500円

▼ 回収期間の目安

  • 月20人施術の場合
    利益 29万円/月 → 約7ヶ月で回収
  • 月10人施術の場合
    利益 14.5万円/月 → 約14ヶ月で回収

リース契約を活用すれば初期費用を抑えられますが、金利も含めた総支払額と、毎月のリース料を上回る利益が出せるかを冷静にシミュレーションすることが、失敗しない投資の鉄則です。

導入前チェックリスト:保守・集客素材・研修・リース条件

機器のスペックだけでなく、メーカーのサポート体制も重要な選定基準です。故障時の代替機手配やメンテナンス体制、集客に使える写真素材やPOPの提供、導入講習の充実度などを事前に確認しましょう。特に個人サロンの場合、機器トラブルは営業停止に直結するため、迅速な対応をしてくれる信頼できるメーカーや販売店を選ぶことが、長く安心して使い続けるための生命線となります。

イレブンからのアドバイス

美容機器は「相棒」です。性能が良いのはもちろん大事ですが、何かあった時にすぐ駆けつけてくれるか、相談に乗ってくれるメーカーかどうかが一番重要です。「売って終わり」の業者には注意してくださいね。

数字で強くなる:サロン版ダッシュボードの作り方

経営者としての勘を磨くためには、日々の数字を正しく把握することが不可欠です。複雑な会計ソフトを使わなくても、主要な指標を一覧できる「ダッシュボード」を作ることで、サロンの健康状態が一目でわかるようになります。数字に基づいた意思決定が、サロンを強くします。

追うべき7指標(新規/再来/紹介/客単価/稼働率/CPA/LTV)

日々の営業で必ず記録・確認すべき指標は以下の7つです。

  1. 新規客数
  2. 再来客数(リピート数)
  3. 紹介数
  4. 客単価
  5. 稼働率(予約枠に対する埋まり具合)
  6. CPA(新規客1人獲得にかかった広告費)
  7. LTV(顧客1人あたりの生涯売上)これらをエクセルやスプレッドシートで管理し、前月比や目標比をチェックする習慣をつけるだけで、改善すべきポイントが明確に見えてきます。

週次ミーティングの型と改善サイクル(PDCA・OKR)

一人サロンであっても、週に一度は「自分ミーティング」の時間を設けましょう。先週の数字を振り返り、「なぜ目標に届かなかったのか」「何が良かったのか」を分析し、翌週の行動計画を立てます。このPDCA(計画・実行・評価・改善)サイクルを回し続けることが、経営の質を高めます。大きな目標(OKR)と日々の行動をリンクさせ、数字の変化に一喜一憂せず、淡々と改善を積み重ねることが成長への近道です。

月次損益テンプレ:固定費・変動費・営業利益の整え方

月末には必ず損益計算を行いましょう。売上から、家賃や広告費などの「固定費」と、材料費などの売上に比例する「変動費」を差し引き、「営業利益」を算出します。この営業利益が、あなたの手取り収入や将来への投資資金となります。どんぶり勘定をやめ、何にいくら使って、どれだけ利益が残ったのかを正確に把握することで、無駄な経費を削減し、利益体質のサロンへと変化させることができます。

イレブンからのアドバイス

数字はあなたの敵ではなく、ナビゲーションシステムです。「今どこにいて、どこに向かっているのか」を教えてくれる心強い味方です。苦手意識を持たず、まずは「毎日売上を手帳に書く」ことから始めてみましょう。

価格と価値を一致させる:価格改定とカウンセリングの技術

「値上げをしたらお客様が離れるのではないか」という恐怖は誰にでもあります。しかし、適切な価格設定は、サロンの質を保ち、あなた自身の生活を守るために避けては通れません。価格以上の価値を感じてもらうための技術と伝え方を磨きましょう。

原価と所要時間から逆算する価格設計のステップ

価格は「なんとなく」ではなく、原価と時間単価から論理的に算出します。使用する化粧品や消耗品のコスト、家賃や光熱費の按分、そしてあなたが欲しい時給(技術料)を積み上げて最低価格を割り出します。そこに、独自の技術や空間価値、競合との差別化要素を付加価値として上乗せし、適正価格を決定します。根拠のある価格であれば、自信を持ってお客様に提示することができ、安売り競争から脱却できます。

値上げ時の伝え方:カウンセリング・比較提示・保証設計

値上げや高単価メニューを提案する際は、単に「高くなります」と伝えるのではなく、その理由と得られる未来(ベネフィット)を伝えます。「使用する商材をグレードアップした」「新しい技術を導入した」などの理由に加え、他店との違いやアフターフォローの充実などを説明し、納得感を醸成します。また、コース契約時の返金保証などをつけることで、お客様のリスクを下げ、背中を押してあげる工夫も効果的です。

イレブンからのアドバイス

お客様が離れるのが怖くて値上げできないオーナー様は多いです。でも、安さだけで繋がっているお客様は、もっと安い店ができれば去っていきます。あなたの「価値」を理解してくれるお客様と付き合うためにも、適正価格への挑戦は必要です。

リスクを未然に防ぐ:法務・衛生・クレーム予防

個人サロンオーナーは、全ての責任を一人で負わなければなりません。トラブルが起きてからでは遅いため、法律や衛生管理の知識を身につけ、リスクを未然に防ぐ準備をしておくことが、自分とお客様を守ることに繋がります。

同意書・禁忌事項・施術記録の運用ルール

施術前には必ず「施術同意書」への署名をいただき、アレルギーや既往歴、妊娠の有無などの禁忌事項を確認しましょう。万が一トラブルが起きた際、説明義務を果たしていたかどうかが重要になります。また、毎回の施術内容やお客様の肌状態を記録に残しておくことは、サービスの質向上だけでなく、言った言わないのトラブル防止にも役立ちます。

返金・キャンセル・遅刻ポリシーで機会損失を最小化

キャンセルや遅刻に関するルールを明確にし、事前にお客様に伝えておくことが重要です。「当日キャンセルは全額負担」「15分以上の遅刻は施術短縮」などのポリシーを設け、予約時やHPに明記しましょう。また、高額なコース契約に関しては、特定商取引法に基づくクーリング・オフの対象となる場合があるため、法定書面の交付が必要です。

引用:消費者庁「特定商取引法ガイド」

イレブンからのアドバイス

契約書やルール作りは「冷たい」ことではありません。むしろ、お互いが気持ちよく過ごすための「優しさ」です。なあなあにせず、しっかりとルールを示すことが、プロとしての信頼感を生みます。

よくある質問(FAQ):個人エステサロンの平均売上と運用の疑問

コンサルタントとして現場でよく受ける質問をまとめました。不安を解消し、前向きな気持ちで経営に取り組んでください。

平均売上の目安はいくらを狙うべき?

まずは、生活費と経費を賄えるライン(例:月商30万〜50万円)を第一目標にしましょう。そこが安定したら、次は機器導入や物販強化などで単価を上げ、月商80万〜100万円を目指すのが現実的なステップです。

広告費は売上の何%が適正?

一般的に売上の10〜20%が目安と言われていますが、開業初期は認知拡大のために多めに投資する必要があります。リピーターが増えてくれば広告費率は下がっていきますので、フェーズに合わせて調整しましょう。

客単価を短期で上げるには何から始める?

オプションメニューの提案が最も手軽です。「プラス1,000円でヘッドマッサージ」「プラス2,000円で美容液導入」など、いつもの施術に気軽に追加できるメニューを用意し、お声がけすることから始めてみてください。

イレブンからのアドバイス

他のサロンと比べて落ち込む必要はありません。あなたのサロンには、あなた

まとめ|平均売上を超えて「月商100万円超」を目指す実行プラン

個人サロンで月商100万円を超えることは、決して不可能な夢ではありません。正しい知識と戦略を持ち、一つひとつ行動に移していけば、必ず道は開けます。最後に、今日から始められるアクションプランを提示します。

30日・60日・90日でやることリスト

STEP 1:最初の30日(基盤作り)

  • メニュー構成と価格の最終決定
  • ターゲットに刺さるHP・SNSプロフィールの作成
  • Googleビジネスプロフィールのオーナー登録

STEP 2:次の60日(集客テスト)

  • 初回限定キャンペーンの告知(SNS・チラシ)
  • LINE公式アカウントの開設とリッチメニュー設置
  • モニター協力を依頼し、施術写真(ビフォーアフター)を収集

STEP 3:90日目以降(定着・改善)

  • 来店客へのサンクスメール自動化
  • 数字集計(ダッシュボード)の運用開始
  • Googleマップへの口コミ投稿依頼スタート

美容機器・導入研修・集客支援までワンストップのご相談(株式会社イレブン)

私たち株式会社イレブンは、単なる美容機器の販売だけでなく、サロン様の経営課題に寄り添ったコンサルティングを行っています。「どの機械を入れるべきか分からない」「集客やメニュー作りに悩んでいる」という方は、ぜひ一度ご相談ください。女性オーナー様特有のお悩みにも親身に対応し、あなたのサロンの成功を全力でサポートいたします。

イレブンからのアドバイス

夢を叶えるために一番大切なのは「行動」です。この記事を読んで「なるほど」と思っただけでは何も変わりません。まずはToDoリストの最初の一つから、今日始めてみませんか?私たちはいつでもあなたを応援しています。

今なら無料でコンサルタントに
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この記事を書いた人

イレブンのメディア事業部は、美容業界の最新トレンドや製品情報を取材・編集し、自社メディアやSNSで分かりやすく発信。サロン経営者とエンドユーザーを繋ぐ情報ハブとしてブランド価値と売上向上を継続的にサポートします。

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