脱毛サロン開業に資格は必要?国家資格不要の線引きと必須手続き

この記事の監修者

㈱イレブン技術商品部 部長
インストラクター
村上 琴音(ムラカミ コトネ)

株式会社イレブンで商品開発とインストラクターを担当。資格と現場経験を活かし、個人サロンの成長を支援しています。

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脱毛サロンの開業を検討する際、「美容師免許や医療資格は必要なのか?」という疑問は最初に解消すべき重要なポイントです。結論から言えば、美容ライト脱毛に国家資格は不要ですが、医療行為との法的な線引きを誤ると医師法違反のリスクがあります。本記事では、美容専門商社のコンサルタント視点から、開業に必要な資格の真実と、安全に運営するための法的ルール、資金計画までを網羅的に解説します。

目次

脱毛サロン開業に資格は必要?結論と「美容/医療」の線引き

脱毛サロンの開業自体には、特定の国家資格は法律上義務付けられていません。美容師免許も医師免許も不要で、保健所への届出義務も現状の「光脱毛」単体であれば発生しません。しかし、誰でも参入できるからこそ、「どこまでが許される行為なのか」という法的な境界線を正しく理解しておく責任があります。この線引きを知らずに開業することは、無免許運転をするようなものであり、極めて危険です。

美容ライト脱毛は国家資格不要/医療脱毛は医療行為と判定される理由

エステサロンで行う「美容ライト脱毛」は、国家資格が不要な自由診療のサービスです。なぜなら、厚生労働省の見解において、エステでの脱毛は「発毛組織を破壊しない程度の施術」と定義されているからです。

この違いを明確にするため、以下の比較表をご確認ください。

【美容脱毛と医療脱毛の違い】

スクロールできます
項目美容ライト脱毛(エステ)医療脱毛(クリニック)
施術者エステティシャン
(資格不要)
医師・看護師
(国家資格必須)
目的抑毛・減毛
(毛を目立たなくする)
永久脱毛
(毛根組織の破壊)
機器の出力弱い
(肌への負担が少ない)
強い
(痛みを伴う場合がある)
法的根拠自由診療
(サービス業)
医療行為
(医師法)

エステサロンで医療行為に該当する「永久脱毛」を謳ったり、高出力で照射したりすると医師法違反(無資格医業)となります。マシンのスペックと広告表現には細心の注意が必要です。

引用:厚生労働省

開業で有利な民間資格の活用(例:光脱毛・電気脱毛・安全衛生系)

法的に必須の資格はありませんが、民間資格を取得しておくことは、お客様からの信頼獲得において非常に有利に働きます。お客様は「無資格のスタッフに肌を任せる」ことに少なからず不安を感じているからです。

例えば、「認定美容ライト脱毛エステティシャン」や「CPE(認定電気脱毛士)」といった資格は、正しい知識と安全管理能力を持っていることの証明になります。また、メーカーが発行する「ディプロマ(修了証)」を店内に掲示するだけでも、プロフェッショナルとしての安心感を演出できます。資格は義務ではありませんが、競合店との差別化や、万が一のトラブル時の説明責任を果たすための「武器」として、取得を強く推奨します。

イレブンからのアドバイス

資格がないからといって、勉強しなくていいわけではありません。むしろ、事故が起きた際に「無資格で知識もなかった」では済まされません。私たちのような商社が実施する講習会などを活用し、プロとしての知識武装は必ず行ってください。

開業に必須の手続き・ルール(最重要コンプライアンス)

資格が不要である反面、事業者として守るべき法律や手続きは多岐にわたります。これらを怠ると、脱税や特定商取引法違反といった重大なペナルティを受ける可能性があります。サロン経営を長く続けるためには、技術の習得以上に、こうしたコンプライアンス(法令遵守)の徹底が基盤となります。

開業届・青色申告など税務手続きの基本

サロンを開業したら、管轄の税務署へ速やかに「個人事業の開業・廃業等届出書(開業届)」を提出する必要があります。これは事業を開始したことを国に知らせる義務的な手続きであり、提出することで屋号付きの銀行口座が開設できるようになります。

あわせて「青色申告承認申請書」を提出することをおすすめします。青色申告を行えば、最大65万円の特別控除が受けられ、赤字を翌年以降に繰り越せるなど、節税面で大きなメリットがあるからです。税務署への届出は無料で行えますし、最近ではオンラインでも簡単に作成可能です。開業初期の忙しい時期でも、これだけは後回しにせず、開業日から1ヶ月以内に完了させましょう。

特商法/景表法/医療広告ガイドラインのNG表現チェック

広告や契約においては、「特定商取引法(特商法)」や「景品表示法(景表法)」を厳守しなければなりません。特に脱毛サロンは消費者トラブルが起きやすい業種として、行政の監視が厳しくなっています。無意識に使ってしまいがちなNG表現をまとめました。

エステサロンで使ってはいけないNG表現

  • 「永久脱毛」
  • 「1回で完了」
  • 「医療レベルの効果」
  • 「治る」「治療」

使用可能な表現(言い換え例)

  • 「ムダ毛ケア」
  • 「自己処理が楽になる」
  • 「サヨナラ」ではなく「卒業」
  • 「なめらかな肌へ」

「知らなかった」では済まされないため、広告を作成する際はガイドラインと照らし合わせる習慣をつけてください。

同意書・個人情報・未成年対応の必須ドキュメント

トラブルを未然に防ぐために、契約書類や同意書の整備は不可欠です。これらに漏れがあると、何かあった際にサロンを守ることができません。以下のチェックリストを活用して準備を進めてください。

【開業前に用意すべき書類チェックリスト】

  • 施術同意書(承諾書)
    リスク説明と署名欄があるもの
  • カウンセリングシート
    体調や服用薬を確認するもの
  • 概要書面・契約書面
    5万円・1ヶ月を超える契約(特定継続的役務)の場合に必須
  • 親権者同意書
    未成年者が契約する際に必要
  • プライバシーポリシー
    個人情報の取り扱い規定

これらのドキュメントは自作せず、プロが監修した雛形を利用するのが安全です。

イレブンからのアドバイス

SNSでの発信でも「永久脱毛」という言葉を使ってしまいがちです。お客様が使う分には自由ですが、サロン側が発信すると法律違反になります。言葉選び一つでサロンの存続に関わるため、慎重になりすぎるくらいが丁度よいです。

開業費用の目安と資金計画

法的な準備と並行して進めるべきなのが、現実的な資金計画です。脱毛サロンは自宅マンションの一室からテナント店舗まで規模は様々ですが、どのスタイルであっても「初期投資」と「運転資金」のバランスを間違えると、黒字化する前に資金ショートしてしまいます。

初期費用の内訳(物件・内装・機器・備品・システム)

テナントを借りて開業する場合、初期費用の総額は400万円〜600万円程度が目安となります。最も大きなウェイトを占めるのが業務用脱毛機と物件取得費です。

内訳としては、業務用脱毛機に150〜300万円、物件の敷金・礼金・仲介手数料で100〜150万円、内装工事費で100〜200万円程度かかります。これに加え、ベッドやタオルなどの備品、予約システムやホームページ制作費として50〜100万円が必要です。自宅サロンであれば物件費や内装費を大幅に圧縮できますが、集客のために広告費や機器のグレードには妥協しない姿勢が大切です。何にお金をかけ、何を節約するか、メリハリのある配分を考えましょう。

運転資金と6か月キャッシュフローの考え方

開業資金の中で見落としがちなのが、売上が安定するまでの「運転資金」です。オープン初月から満席になることは稀で、最初は認知を広げるための我慢の時期が必ずあります。

具体的には、家賃、広告費、光熱費、自分の生活費を含めた固定費の「最低6ヶ月分」を手元に残しておくべきです。例えば毎月の固定費が30万円なら、180万円は運転資金として確保します。初期費用で手持ち資金を使い果たしてしまうと、数ヶ月赤字が続いただけで閉店に追い込まれます。「売上がゼロでも半年は潰れない」状態を作っておくことが、精神的な余裕と正しい経営判断に繋がります。

調達手段:自己資金/公庫融資/リース・補助金の使い分け

資金調達は、自己資金だけでなく外部のリソースを上手く活用することが成功の鍵です。全額自己資金で賄おうとすると、手元のキャッシュが薄くなりリスクが高まります。

おすすめは、日本政策金融公庫の「新創業融資制度」です。無担保・無保証人で低金利の融資が受けられ、事業計画の信頼性も担保されます。また、脱毛機はリース契約やビジネスクレジット(分割払い)を利用して初期支出を抑えるのも有効です。さらに、「IT導入補助金」や「小規模事業者持続化補助金」など、国や自治体の制度を使えば、広告費やシステム導入費の一部が戻ってきます。これらを賢く組み合わせ、手元の現金を温存する戦略を立てましょう。

イレブンからのアドバイス

「自己資金だけでやる」というのは美徳のようですが、経営的には「手元の現金を減らす」というリスクある行為でもあります。融資を受けて手元資金を厚くし、万が一の事態に備えるのが賢い経営者の判断です。

失敗しない業務用脱毛機の選び方

脱毛サロンの商品力は、導入する「業務用脱毛機」の性能で9割決まると言っても過言ではありません。マシンの選択ミスは、効果が出ないことによるクレームや、故障による営業停止に直結します。デザインや価格だけで選ばず、以下のポイントを冷静に見極める必要があります。

失敗しない脱毛機選び 5つの絶対条件

  1. 冷却機能…照射面が凍るレベルまで冷えるか(火傷防止)
  2. 連射速度…全身脱毛が60分以内で終わるスペックか
  3. ランニングコスト…1発あたり0.5円以下か
  4. 保険加入…エステ保険(PL保険)の対象機種か
  5. 代替機対応…故障時に即日・翌日発送してくれるか

方式(SHR/IPL等)・出力・冷却・保証で安全性を担保

まずは脱毛方式と安全機能を確認しましょう。現在は、濃い毛に効果的な「IPL方式」と、産毛や日焼け肌にも対応でき痛みが少ない「SHR(蓄熱)方式」のハイブリッド機が主流です。ターゲットとする客層に合わせて最適な方式を選びます。

また、トラブル回避のために最も重要なのが「冷却機能」です。照射面がしっかりと冷却されるマシンであれば、高出力でも火傷のリスクを最小限に抑えられます。さらに、万が一のトラブルに備えて「ドクターサポート(提携医師の紹介)」が付帯しているか、マシン自体に1年以上の保証期間があるかも必須チェック項目です。安全性が担保されていないマシンは、経営上の爆弾を抱えているのと同じです。

施術時間・消耗品・回転率で収益性を検証

経営視点では、マシンの「施術スピード」と「ランニングコスト」が利益率を左右します。1ショットあたりの単価(ランプ代)と、往復照射が不要な連射性能を確認してください。

例えば、全身脱毛に90分かかるマシンと、45分で終わるマシンでは、1日の最大受入人数が倍近く変わります。また、ランプ交換費用が高額すぎると、売上は上がっても利益が残らない構造になります。本体価格が安くても、消耗品が高いマシンは避けるべきです。「全身脱毛1回あたりの原価」を算出し、適正な利益が出るかをシミュレーションしてから導入を決定しましょう。

デモ・保守体制・PL保険の事前確認ポイント

カタログスペックを鵜呑みにせず、必ずデモンストレーションを受けて実際の操作感や痛みの有無を確認してください。施術者が扱いやすく、お客様が不快に感じないかをご自身の肌で体験することが重要です。

また、故障時の「代替機発送スピード」も重要です。マシンが止まればその間の売上はゼロになり、予約変更で信用も失います。即日発送などのサポートがあるかは死活問題です。さらに、施術による火傷などの賠償責任をカバーする「エステ保険(PL保険)」に加入できる機種かどうかも確認しましょう。

イレブンからのアドバイス

マシン選びで失敗するパターンは「営業マンの言葉だけを信じる」ことです。必ず「自分の肌で試す」「見積もりでランニングコストを計算する」「故障時の対応を書面で確認する」の3つを行ってください。私たちが扱うマシンは、これら全ての基準をクリアしたものだけを厳選しています。

開業ロードマップ(最短で立ち上げる手順)

準備不足のまま見切り発車で開業すると、後から修正が効かない問題が発生します。コンセプト設計からオープンまで、正しい順序で進めることが最短かつ最良のルートです。以下のロードマップを参考に、着実にステップを踏んでいきましょう。

【開業までの最短ロードマップ】

  1. コンセプト設計・物件探し (ターゲットを決め、事業計画書を作成する)
  2. 資金調達(融資申込) (公庫へ申し込み、審査通過後に物件契約へ)
  3. 内装工事・機器導入 (サロンの箱を作り、マシンを搬入して研修を行う)
  4. 集客準備・プレオープン (HP公開、SNS運用開始、モニター施術の実施)
  5. グランドオープン

コンセプト・価格設計→物件決定→事業計画の作成

最初に行うべきは「誰に、どんな価値を、いくらで提供するか」というコンセプト設計です。「30代女性向けのラグジュアリーサロン」なのか「学生向けの通い放題サロン」なのかで、選ぶべき物件もマシンのスペックも全く異なります。

コンセプトが決まったら、それに合うエリアで物件を探し始めます。同時に、家賃や客単価、見込み客数を盛り込んだ「事業計画書」を作成します。これは融資審査でも必須となりますし、自分自身が「このビジネスで勝てるか」を客観視するための地図になります。物件契約前にこの計画が成り立っているかを確認することが、失敗を防ぐ最初の砦です。

資金調達→内装→機器導入→保険加入

事業計画が固まったら、資金調達(融資申し込み)を行います。融資の承認が下りてから、正式に物件の賃貸借契約を結び、内装工事を発注します。この順番を間違えると、融資が下りないのに家賃だけ発生するリスクがあります。

内装工事と並行して業務用脱毛機や備品の発注を行い、納品日を調整します。また、開業前には必ず「施設賠償責任保険」や「受託者賠償責任保険」などのサロン向け保険に加入手続きを済ませてください。機器が搬入されたら、スタッフ研修を行い、操作技術を完璧にしておく必要があります。

集客準備(HP/予約導線/口コミ基盤)→プレオープン→本開業

オープン直後からお客様に来ていただくためには、開業の2ヶ月前から集客準備を始める必要があります。ホームページやLP(ランディングページ)の制作、SNSアカウントの運用開始、ホットペッパービューティーなどのポータルサイト掲載準備を進めます。

本オープンの2週間〜1ヶ月前には「プレオープン」期間を設け、知人やモニターを招いて施術の流れや接客をテストします。ここでオペレーションの不備を修正し、Googleマップなどの口コミを事前に集めておくことが、本番のスタートダッシュを成功させる秘訣です。予約が入る導線を確認し、万全の状態でグランドオープンを迎えましょう。

イレブンからのアドバイス

物件契約は必ず「融資が通ってから」にしてください。良い物件を見つけると焦って契約したくなりますが、もし融資が通らなかったら違約金を払って解約することになります。この順序だけは絶対に守ってください。

株式会社イレブンの支援領域(導入〜集客まで)

ここまで解説した通り、脱毛サロンの開業には多岐にわたる専門知識が必要です。一人ですべてを完璧にこなすのは困難ですが、私たち株式会社イレブンは美容専門商社として、あなたの開業をトータルでサポートします。

機器選定・導入研修・安全マニュアルの提供

私たちは単にマシンを販売するだけでなく、安全・安心なサロン運営の土台作りをお手伝いします。最新のトレンドや法令に基づいた最適な機器のご提案はもちろん、導入時には実技講習を含めた徹底的な研修を行います。

また、トラブルを未然に防ぐための「安全マニュアル」や、弁護士監修の「同意書・契約書雛形」も提供可能です。初めての方でも、自信を持ってお客様に施術を提供できるよう、技術と知識の両面からバックアップいたします。機械の操作だけでなく、カウンセリングトークやクロージングの手法まで、現場ですぐに使えるノウハウを伝授します。

価格設計・売上管理・Web/SNS集客の実務伴走

開業後の最大の課題である「集客」と「経営」もサポートします。エリアの競合調査に基づいた「勝てる価格設定」や、リピート率を高めるメニュー構成のアドバイスを行います。

さらに、InstagramなどのSNS運用のコツや、ホットペッパービューティーの効果的な活用法など、集客の実務面も伴走支援します。「機械を導入して終わり」ではなく、サロン様が安定して利益を出し続けられるよう、経営のパートナーとして長期的にサポートさせていただきます。資金調達の段階からでも相談可能ですので、まずは一度お悩みをお聞かせください。

イレブンからのアドバイス

私たちイレブンは、コンサルタントである前に「サロン経営の先輩」でもあります。私たちが過去に経験した失敗を、これから開業する皆様にはしてほしくありません。どんな些細なことでも、お気軽にご相談ください。あなたのサロンの成功を全力でバックアップします。

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この記事を書いた人

イレブンのメディア事業部は、美容業界の最新トレンドや製品情報を取材・編集し、自社メディアやSNSで分かりやすく発信。サロン経営者とエンドユーザーを繋ぐ情報ハブとしてブランド価値と売上向上を継続的にサポートします。

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