この記事の監修者

㈱イレブン技術商品部 部長
インストラクター
村上 琴音(ムラカミ コトネ)
株式会社イレブンで商品開発とインストラクターを担当。資格と現場経験を活かし、個人サロンの成長を支援しています。

この記事の監修者

㈱イレブン技術商品部 部長
インストラクター
村上 琴音(ムラカミ コトネ)
株式会社イレブンで商品開発とインストラクターを担当。資格と現場経験を活かし、個人サロンの成長を支援しています。
エステサロンの開業は、多くの女性にとって夢のある挑戦です。しかし、その裏側には、残念ながら「失敗」に陥ってしまう共通の落とし穴が存在します。憧れだけで進めると、資金計画の甘さや集客の困難、女性特有のリスクに直面しがちです。
この記事では、500以上のサロン様を支援してきた美容機器商社・株式会社イレブンの視点から、失敗を回避し、持続可能なサロンを築くための具体的な「型」と「回避策」を徹底的に解説します。
多くの開業失敗には、共通する「型」が存在します。憧れや勢いだけで進めてしまうと、足元のリスクを見落としがちになるからです。資金、立地、メニュー、機器、集客。この5つの領域での見落としが、経営の失敗に直結します。まずは、私たちが現場で目にしてきた典型的な5つの失敗パターンを学んでいきましょう。
運転資金の不足は、廃業理由のトップに挙げられます。開業後すぐに売上が安定するとは限らず、利益が出ても入金が先になるため、手元の現金が尽きるからです。例えば、売上が好調でも広告費や家賃の支払いが先に来ると、資金がショートします(黒字倒産)。初期投資とは別に、最低6ヶ月分の固定費を現金で確保することが、サロン生存の鍵となります。
「家賃が安い」という理由だけで立地を選ぶのは危険です。サロンのコンセプトと、その場所を行き交う人々の層(ターゲット)が一致していなければ、お客様は来ません。例えば、高級志向のサロンを学生街に出店してもニーズが合いません。逆に、低価格サロンを富裕層エリアに出しても選ばれにくいでしょう。必ず商圏調査を行い、ペルソナが実在するか確認してください。
高単価メニューと回数券の設計は、両立が難しい点です。高単価は「質の高い施術を都度受けたい」層に響き、回数券は「お得に継続したい」層に響くため、訴求が矛盾しやすいためです。高単価で満足度を高めつつ、リピート施策として回数券を設計する場合、割引率を下げすぎると高単価の価値が毀損します。お試し・都度払い・回数券の役割を明確に分ける必要があります。
最新の複合機が、必ずしもあなたのサロンに最適とは限りません。オーバースペックな機器は、投資回収の負担を重くするだけです。「あれもこれもできる」という理由で高額な機器を導入し、実際には一部の機能しか使わず、リース料に苦しむケースは多いです。また、リース期間が長すぎると、故障時に不利な条件になることもあります。ターゲットの悩みを解決できる機能に絞り込みましょう。
特定の集客チャネルに依存する経営は、非常に不安定です。ポータルサイトの手数料高騰や、SNSのアルゴリズム変更一つで、売上が激減するためです。例えば、ホットペッパー頼みで自社の予約が埋まらない、Instagramの流行が終わり客足が途絶える、などが典型例です。安定経営のためには、ポータル、SNS、そして最も重要な「紹介」の仕組みをバランス良く設計することが不可欠です。
イレブンからのアドバイスこれら5つの失敗は、すべて「開業前の準備不足」に起因します。特に「なんとなく」で決めた立地や機器は、後から変更するのが非常に困難です。計画段階でプロの意見を聞き、リスクを一つずつ潰しておくことが、失敗を避ける最大の防御になります。
女性オーナーには、特有のリスク管理と働き方の設計が求められます。体力、ライフイベント、安全面は、男性オーナー以上に経営に直結しやすい問題だからです。安心して長くサロンを続けるためにも、防犯対策や育児との両立を前提としたオペレーションを開業前に組む必要があります。持続可能な体制を整えましょう。
オーナー自身の安全確保は、経営の最優先事項です。特に女性オーナーによる個室での施術や深夜営業は、顧客によるハラスメントリスクを高めます。受付への防犯カメラ設置、緊急通報システムの導入、男性客の受付厳格化(紹介のみ)などの対策は必須です。厚生労働省も顧客ハラスメント対策の重要性を指摘しています。安心して働くためのルールを徹底しましょう。
無理な施術スケジュールは、セラピスト生命を縮めることに直結します。特にエステティシャンは、腰や手首に職業病を抱えやすいからです。オールハンドにこだわりすぎず、一部の施術を美容機器に任せることで、体力的な負担は大幅に軽減できます。また、施術と施術の間に十分な休憩(回復時間)を設けることも重要です。自身の健康が最大の資本だと認識し、負担を分散させましょう。
女性は、妊娠・出産・育児といったライフイベントと経営を両立させる必要があります。オーナー自身が施術から離れる期間も、サロンを運営し続けなければなりません。「自分がいなければ回らない」状態は非常に危険です。信頼できるスタッフを採用し、施術や接客をマニュアル化しておくことで、オーナー不在時も質を維持できます。属人化を避け、代替運用できる体制を開業時から設計しましょう。
営業時間とプライベートの境界線は、明確に引くべきです。自宅サロンや一人サロンでは、家事・育児の都合で営業時間が不規則になりがちだからです。お客様の都合に合わせすぎると、予約枠が複雑化し、かえって効率が悪化します。例えば「10時・13時・16時」など、1日の施術枠を固定化する方が、育児との両立もしやすくなります。無理のない予約導線こそが、長く続ける秘訣です。



「自分が倒れたら終わり」という状況は、経営上最大のリスクです。特に一人サロンや自宅サロンでは、体力・健康管理も重要な経営戦略です。美容機器を「自分の右腕」として活用し、負担を軽減することも、長く愛されるサロンを続けるための賢い選択です。
リアルな資金計画こそが、開業失敗を防ぐ最大の鍵です。多くの失敗は「これくらいで足りるだろう」というどんぶり勘定から始まります。初期投資と運転資金は、明確に分けて計算する必要があります。特に運転資金の確保が、開業後の生存率を大きく左右します。私たちコンサルタントが使う計算式と内訳のテンプレを共有します。
初期投資とは「サロンを開くために最初にかかる費用」です。ここに見積もりの漏れがあると、開業直前に資金ショートする恐れがあります。これらを一覧化し、見積もりを甘く見ないことが重要です。
初期投資の主な内訳は以下の通りです。
運転資金は「売上がゼロでもサロンを維持できる費用」です。開業後半年は赤字でも耐えられる備えが、心の余裕と正しい経営判断を生みます。計算式はシンプルに「月間固定費(家賃+光熱費+人件費+広告費など)× 6ヶ月分」です。例えば月間固定費が50万円なら、300万円は初期投資とは別に現金で用意します。このバッファが、焦った集客をせずに済む体制を作ります。
自己資金だけでは不足する場合、調達方法の比較が必須です。それぞれにメリット・デメリットがあり、審査の視点も異なるためです。J-Net21などの公的サイトで情報収集しましょう。事業計画の「熱意と現実性」が審査では見られます。
<資金調達方法の比較表>
| 比較項目 | 補助金・助成金 | 融資(ローン) | リース |
| 特徴 | 原則、返済不要 | 返済義務あり | 物品の賃貸借 |
|---|---|---|---|
| メリット | 自己資金負担を軽減できる | 使途の自由度が高い | 初期費用を抑えられる |
| デメリット | 原則「後払い」/申請が複雑 | 利息が発生/審査が必要 | 所有権はない/中途解約不可 |
| 審査の視点 | 事業の新規性・社会性 | 事業計画の確実性・返済能力 | 信用情報・事業の将来性 |



資金計画で最も危険なのは「初期投資=開業資金」と考えてしまうことです。開業はゴールではありません。本当の勝負は開業後の「運転資金」です。特にリースやローンを組む際は、6ヶ月分の返済額も運転資金に含めて計算する「堅実さ」が成功の分かれ道です。
市場調査の目的は、戦略の「ズレ」をなくすことです。「誰に」「何を」「いくらで」提供するかが曖昧だと、誰にも響かないサロンになります。競合を調査し、ターゲット(ペルソナ)を深く理解し、その人が「妥当」と感じる価格帯を設定する。この3つの軸を一致させることが成功の前提です。感覚ではなく、データで戦略を固めましょう。
商圏調査の基本は、競合の「棚卸し」です。お客様は、あなたの店と競合を比較して来店を決めるからです。徒歩10分圏内(一次商圏)の競合サロンをリストアップし、メニュー、価格帯、強み(例:最新機器、凄腕ハンド)を分析します。その結果、「仕事帰りの30代向け、痩身特化サロンがA駅周辺にはない」といった「ホワイトスペース」が見つかります。競合分析こそが、独自の強みを見つける第一歩です。
ペルソナ設定で重要なのは「来店理由」の具体化です。「30代女性」といった漠然とした括りでは、響くメッセージは作れません。「産後太りが戻らず、子供の入園式までに痩せたい」「マスク荒れが治らず、ファンデで隠す生活に疲れた」など、具体的な「悩み」と「理想の未来(解決ストーリー)」を言語化します。このストーリーこそが、広告やカウンセリングの核となります。
価格設定は、開業前にテストすることが理想です。「高すぎる」と客足が遠のき、「安すぎる」と利益が出ず疲弊します。ターゲットに近い層にアンケートを取ったり、SNSで「AプランとBプラン、どちらが魅力的?」と問いかけたりする(A/Bテスト)ことで、価格への反応(価格弾力性)を探れます。「お試し」「都度払い」「定額」の価格バランスを決め、利益を最大化するポイントを見つけましょう。



市場調査を「難しいもの」と考えないでください。一番の調査は、オーナー様自身が「お客様」として競合サロンに行ってみることです。価格、接客、内装、技術を体感することで、データでは見えない「お客様が本当に求めているもの」が見つかります。
良いメニューとは、高粗利と高継続率を両立させるものです。お客様の満足度が高くても、利益が出なければ経営は続きません。お客様を呼び込む「導線商品」と、利益を生む「スター商品」を戦略的に設計する必要があります。継続利用を促す仕組みも不可欠です。戦略的なメニュー設計が、サロンの収益を安定させます。
メニューは、役割ごとに三層で設計します。全てのメニューが同じ役割を担うと、価格競争に巻き込まれるためです。この流れを設計することで、新規客を無理なくリピーターへと育成できます。
メニューは以下の三層で設計します。
継続課金モデルは、導入ルールに注意が必要です。割引率や有効期限の設計を誤ると、将来の利益を圧迫したり、失客の原因になったりします。失敗例は「割引のしすぎ」で利益率が低下する、「有効期限が長すぎ」て予約枠が埋まり続ける、「中途解約」の返金トラブルなどです。キャッシュフローを安定させるための制度が、トラブル源にならないよう設計しましょう。
カウンセリングは、売上とリスク管理の両面で最重要です。お客様の状態を把握せず施術に入ると、重大な肌トラブルやクレームに直結します。アレルギー、既往症、当日の体調などを確認する「同意書」は必須です。また、施術のメリットとデメリット(ダウンタイムなど)を説明する「インフォームドコンセント」が信頼関係を築きます。抜け漏れのないカウンセリングシートを準備してください。



メニュー名は「お客様が受けたい!」と思うものにしてください。「最新〇〇トリートメント」のような提供者目線の名前ではなく、「【毛穴撃退】つるんと陶器肌コース」のように、お客様が得られる「未来(ベネフィット)」が伝わる名前にするだけで、予約率は大きく変わります。
機器選定は「投資」であり、ギャンブルではありません。私たちイレブンは、導入後に後悔するオーナー様を多く見てきました。大切なのは、価格や機能の多さではなく、サロンの「コンセプト」と「投資回収計画」に合っているかです。プロの視点から、選定のチェックリストを解説します。
機器の評価軸は「体験満足」と「継続単価」の2つです。体験が良くても単価が低ければ利益が出ず、単価が高くても満足度が低ければリピートしません。この両方を満たす機器こそが、サロンの「稼ぎ頭」となります。
以下の2つの視点で評価します。
【体験満足の評価軸】
【継続単価の評価軸】
機器は、導入後の「活用度」で投資対効果(ROI)が決まります。高価な機器も、スタッフが使えなければただの置物です。導入時にしっかりとした理論・技術研修があるか、効果的な見せ方を教える販促サポート(POPやトーク例)が付いているかで、売上は数倍変わります。弊社イレブンのような「売れるまでサポートする」商社を選ぶことが、失敗しない機器投資の鍵です。
リース契約は、期間と保守内容の確認が必須です。機器は消耗品であり、必ず故障リスクが伴うからです。例えば、5年リースを組んだ機器が3年で故障し、修理費が別途高額にかかるケースがあります。また、ハンドピースなどの消耗品交換費用が、想定より高額なこともあります。保守(メンテナンス)の範囲と費用、代替機の有無を契約前に必ず確認しましょう。



機器選定で迷ったら、「デモ体験」を徹底的に活用してください。可能なら、オーナー様自身が「お客様」として施術を受けるだけでなく、スタッフや友人の「ターゲット層に近い人」にも体験してもらい、リアルな感想を集めることが、失敗しない機器選びの鉄則です。
集客の失敗は「導線の分断」から起こります。認知(SNS)と予約(ポータル)がバラバラに機能していると、お客様は途中で離脱します。Instagramで興味を持ってもらい、Googleビジネスで信頼させ、予約システムで迷わせない。この「三位一体」の設計が不可欠です。反応が出る導線とは、お客様を迷わせない設計のことです。
これら3つは、連動させてこそ真価を発揮します。お客様は複数の情報源を回遊して、来店を決定するからです。Instagramでは世界観と「行きたい」動機を醸成。Googleビジネス(Googleマップ)では、口コミと営業時間で「信頼」を獲得。そして、どちらからもシームレスに「予約サイト」に飛べる設計が重要です。どの入口から来ても、ゴール(予約)にたどり着ける導線を作りましょう。
ポータルサイトは「新規集客」と割り切り、「リピート」は自社で囲い込むべきです。ポータル依存は、高い手数料を払い続ける自転車操業になるからです。新規で来たお客様を「指名」に変えるカウンセリング技術や、次回予約を促す仕組みがLTV(顧客生涯価値)を高めます。ポータルは「出会いの場」、自社は「ファンを育てる場」と役割を明確に分けましょう。
良い口コミは、自然には集まりません。「仕組み」で集めます。満足度が高いうちに、適切なタイミングで依頼することが最も効果的だからです。最も効果が高いのは「来店後24時間以内」のフォローです。LINEやメールで「昨日はご来店ありがとうございました。よろしければお声を聞かせてください」と、口コミサイトのURLを添えて送ります。満足度の熱が冷めないうちに依頼する導線を設計しましょう。



集客が苦手なオーナー様ほど、Googleビジネス(Googleマップ)の口コミ対策に全力を注ぐべきです。Instagramのような「映え」は不要で、来店されたお客様への「誠実なフォロー」がそのまま資産になるからです。地道な口コミこそが、広告費ゼロの最強の集客ツールとなります。
ブランディングとは「あなたを選ぶ理由」を明確にすることです。価格や技術だけで選ばれると、競合に勝てません。「この世界観が好き」「このオーナーに共感する」という情緒的な価値が、女性の心を動かします。五感に訴えかける統一された世界観が、共感の土台となります。サロンの「らしさ」を設計しましょう。
世界観は「五感の統一」で表現されます。情報がバラバラだと、お客様は「ちぐはぐな印象」を受け、ブランドとして認識されません。例えば、Instagramの写真は「淡いピンク」、使うフォントは「明朝体」、サロンの香りは「ローズ」、BGMは「クラシック」など、細部までルールを決めます。この一貫性が「〇〇サロンらしさ」という信頼感に変わります。
症例写真は、集客の強力な武器であると同時に、最大のリスク源です。過度な加工や誇大な表現は、景品表示法や医療広告ガイドラインに抵触する恐れがあるからです。「たった1回でマイナス10kg!」といった断定的な表現はNGです。消費者庁も、合理的な根拠のない効果の表示を厳しく監視しています。「※効果には個人差があります」という注釈を明記し、安全な表現を心がけましょう。
引用:消費者庁, https://www.caa.go.jp/
来店前の「不安」を先回りして消すことが、予約率を高めます。女性のお客様は、特に衛生面やプライバシーに敏感だからです。「メイクはしたまま行っていい?」「着替えはどこで?」「他のお客様と会う?」といった疑問を、FAQ(よくある質問)としてサイトに明記します。「衛生管理徹底」「完全個室」といった安心材料を言語化し、不安を信頼に変えましょう。



ブランディングとは、オーナー様の「こだわり」をお客様に「分かりやすく」伝える作業です。なぜこの内装にしたのか、なぜこの商材を選んだのか。その「想い」を言葉や写真で発信し続けることが「共感」を生み、価格競争に巻き込まれない強いサロンを作ります。
少人数サロンの成功は「効率化」にかかっています。オーナーの稼働時間=売上の上限となるため、無駄を徹底的に省く必要があるからです。1日の施術枠を最大化しつつ、オーナー自身の負担を減らす。そのための予約管理、導線改善が鍵となります。最小の労力で最大の利益を出す仕組み作りを解説します。
まずは、自店の「売上上限」を把握することから始めます。上限が分からなければ、目標設定も、スタッフを雇う判断もできないからです。[(営業時間) ÷ (1人当たり施術時間+準備時間)]× (客単価) = (1日の売上上限) です。また、機会損失となる「直前キャンセル」には、キャンセルポリシーを明記し、リマインドメールを送る対策が有効です。現実的な売上上限を計算し、そこを目指しましょう。
施術以外の「雑務」をいかに減らすかが、売上を左右します。一人サロンでは、電話対応や会計の時間も、貴重な施術枠を圧迫するからです。例えば、予約システムを導入してオンライン決済を基本にすれば、会計の手間が省けます。カルテを電子化すれば、記入や探す時間も短縮されます。施術に集中できる環境を、システムの力で作り上げることが重要です。
スタッフを雇う際は「評価基準」を明確にすることが不可欠です。オーナーの「感覚」で評価すると、不公平感が生まれ、早期離職につながります。「リピート率○%」「物販売上○円」といった「数字目標」と、「カウンセリングのSOP(標準作業手順書)が守れているか」といった「行動目標」をセットで設定します。明確なチェック項目が、スタッフの成長と定着を促します。



一人サロンのオーナー様は「施術」と「経営」の二役をこなす必要があります。予約システムや決済システムは、あなたの代わりに「雑務」をこなしてくれる優秀なスタッフです。ツールへの投資を惜しまず、オーナー様は「施術」と「戦略を考える」時間に集中してください。
開業には、法令遵守とリスク管理の知識が不可欠です。「知らなかった」では済まされず、一つのトラブルが廃業につながることもあるからです。保健所への届出、広告のルール、お客様との施術トラブル。これらは必ず発生する問題です。サロンを守る「守り」の知識を身につけましょう。
エステサロン開業には、保健所への届出が必要な場合があります。地域の条例によって「美容所」としての登録が必要かどうかが異なるためです。例えば、まつ毛エクステをメニューに入れる場合は「美容所」登録が必須です。また、広告では「治る」「痩せる」といった医療的な表現や、先述の景品表示法に注意が必要です。まずは管轄の保健所に、自身の業務内容を相談することから始めましょう。
施術トラブルに備え、エステティシャン賠償責任保険への加入は必須です。万が一、お客様に火傷やアレルギーを負わせてしまった場合、高額な賠償を請求される可能性があるからです。同意書はリスク回避の第一歩ですが、保険は最後の砦です。クレーム発生時は、まず真摯に謝罪し、状況を正確にヒアリングする「初動対応」が最も重要です。感情的にならず、誠実に対応する体制を整えましょう。
お客様の個人情報は、厳重に管理する義務があります。紙カルテの紛失や、PCのウイルス感染による顧客情報漏えいは、サロンの信用を失墜させます。紙カルテは必ず施錠できる棚に保管する、予約システムのPCにはセキュリティソフトを導入する、といった基本的な対策を徹底してください。個人情報保護法を遵守し、お客様の信頼を守る運用が求められます。



「同意書」と「賠償責任保険」は、サロンとオーナー様自身を守る「お守り」です。「お客様との信頼関係があるから大丈夫」と過信せず、万が一の事態に備えて法的な「守り」を固めておくこと。それも経営者の重要な責務です。
サロン経営は「数字」で管理することが、失敗回避の最短距離です。感覚的な経営(ドンブリ勘定)では、問題の発生に気づくのが遅れます。開業からのフェーズ(3, 6, 12ヶ月)ごとに、見るべき重要指標(KPI)は変わります。サロンの健康状態を示す「KPI」を正しく設定し、計測しましょう。
最低限、4つのKPIは毎月計測してください。これらはサロン経営の「心臓部」であり、経営状態を可視化するからです。これらの数字を追うことで、今、広告を強化すべきか、リピート対策をすべきかが見えてきます。
最低限、以下の4つのKPIを計測しましょう。
KPIの悪化は「赤信号」であり、すぐに対処が必要です。問題点を放置すると、経営全体に悪影響が広がるからです。例えば「継続率」が急に下がった場合、施術の満足度か、接客に問題がある可能性が高いです。テコ入れの順序は、まず「継続率(リピート)」を改善し、次に「LTV(単価)」を上げ、その後に「新規獲得(広告)」に投資するのが鉄則です。穴の空いたバケツに水(新規客)を注がないよう、順序を守りましょう。
値上げは「サロンの稼働率」が判断ラインです。予約が埋まっていない状態での値上げは、既存客の離脱を招くだけだからです。サロンの予約稼働率が常に80%を超え、予約が取りづらい状況になった時が、値上げの絶好のタイミングです。その際は、ただ値上げするのではなく、付加価値(例:新商材の導入)を付けて発表するのがセオリーです。稼働率を根拠に、自信を持って価格改定を行いましょう。



数字が苦手なオーナー様ほど、KPI管理を恐れる傾向があります。しかし、KPIは「悪い点数をつけられる通知表」ではありません。サロンの「健康診断の結果」です。どこが弱っているかを早期に発見し、対策を打つための「味方」だと捉えて、まずは毎月の計測から始めてみましょう。
多くのサロンが、失敗寸前からV字回復を遂げています。失敗の原因を正しく特定し、適切な「打ち手」を実行できたからです。弊社が支援したサロンの中から、特に学びの多い3つの回復事例を紹介します。立地、投資、集客の典型的な失敗例です。他者の失敗から学ぶことは、何よりの近道となります。
Aサロンは、駅近なのに集客できない「立地ミスマッチ」に陥っていました。オフィス街の立地に対し、主婦向けのチラシを配るなど、ターゲットと訴求がズレていたのです。そこで、ターゲットを「仕事帰りのOL」に変更。Googleマップ対策を徹底し「〇〇駅 痩身」で上位表示させ、夜の予約枠を拡大しました。結果、導線が一致し、売上は3倍になりました。立地は変えられませんが、導線は見直せます。
Bサロンは、高額な最新機器を導入したものの、投資回収に苦しんでいました。高単価の都度払いメニューが中心で、売上が安定しなかったためです。そこで、その機器を使った「月額制の会員プラン(サブスク)」を導入しました。高額な初期費用を払う代わりに、月々定額で通える手軽さが受け、会員数が急増しました。高額投資も、見せ方(売り方)を変えることで、安定収益源へと転換できます。
Cサロンは、売上の8割をポータルサイトに依存し、手数料に苦しんでいました。新規客は来るものの、リピートせず、常に広告を出し続ける必要があったのです。そこで、広告費を削減し、その分を「紹介者」と「被紹介者」の両方に還元するスキームを強化しました。お客様が友人を紹介しやすい特典(例:二人とも施術料30%OFF)を設計したのです。結果、紹介率が40%を超え、広告依存から脱却しました。



これらのV字回復事例に共通するのは、「失敗の原因」を特定し、「打ち手」を変えたことです。うまくいかない時、多くの人は「もっと頑張る」と量を増やそうとしますが、方向性が間違っていれば悪化します。立ち止まり、戦略を見直す「勇気」こそが、回復の第一歩です。
開業前は、誰でも多くの不安を抱えています。特に資金、集客、両立の悩みは、女性オーナー様から最も多く寄せられる質問です。弊社に寄せられる代表的なFAQに対し、コンサルタントとして「現実的な答え」をお伝えします。あなたの不安が、少しでも解消されれば幸いです。
結論から言えば、自己資金ゼロでの開業は推奨しません。最低でも運転資金は必要です。しかし、初期投資を抑える工夫は可能です。例えば、高額な機器はリースを活用する、内装は居抜き物件を選ぶ、自宅の一部を改装する(自宅サロン)などです。公的な融資や補助金(J-Net21などを参照)を最大限活用することも重要です。まずは「何に・いくら使えるか」を明確にすることから始めましょう。
集客が苦手な方こそ、広告に頼らない「仕組み」作りが重要です。広告(特に有料広告)は、集客の「起爆剤」にはなりますが、継続的なコストがかかるためです。まずは、お金のかからないGoogleビジネスやInstagramの運用を徹底しましょう。そして、最も重要なのは「紹介」です。来てくださったお客様に誠実に向き合い、紹介をお願いする導線を作ること。苦手でもできる集key客の仕組み化が、成功の鍵です。
両立を目指すなら「お客様に合わせすぎない」勇気が必要です。営業時間を柔軟にしすぎると、結局オーナー自身が疲弊し、経営も家庭も中途半短になるからです。例えば「平日10時〜16時まで、1日3枠限定」と明確に区切ることで、かえって「その枠で予約したい」という熱心なファンがつきます。無理のない営業時間で質の高いサービスを提供することが、結果的に両立につながります。



開業前の「不安」は、一つずつ「行動」に変えることでしか解消できません。「資金が不安」なら、融資相談に行く。「集客が不安」なら、今すぐSNSアカウントを作る。悩む時間を行動に変えることが、開業準備を前に進める一番のエネルギーになります。
私たちイレブンは、単なる美容機器の商社ではありません。500以上のサロン様と伴走し、失敗と成功のデータを蓄積してきた「経営パートナー」です。機器の選定はもちろん、開業後の集客やスタッフ教育まで、一気通貫でサポートします。最後に、弊社の支援内容と想いをお伝えします。
弊社のサポートは「売れるサロン」を作ることがゴールです。機器は導入してからがスタートであり、活用できなければ意味がないからです。サロンのコンセプトに合わせた最適な「機器選定」はもちろん、導入時の「技術・理論教育」、そして売上を立てるための「販促(見せ方)サポート」まで、専任のコンサルタントが伴走します。「売りっぱなし」にしない。それがイレブンのこだわりです。
成功するサロンには、明確な「成功パターン」があります。それは、技術力だけでなく、経営の「基本」を押さえていることです。具体的には、①明確なコンセプト、②投資と運転資金の分離、③集客とリピートの仕組み化、④正しいKPI管理、です。これらを実行しているサロンは、たとえ小規模でも着実に利益を上げています。私たちは、この成功パターンをあなたのサロンに実装するお手伝いをします。
もし開業に不安や迷いがあるなら、一度お話を聞かせてください。漠然とした不安も、専門家と話すことで「やるべきこと」に変わります。無料相談では、無理な営業は一切行いません。あなたの夢を、現実的な「事業計画」に変えるサポートをさせていただきます。
ご相談時に以下の情報があるとスムーズです。















