エステサロン開業に必要な資金はいくら?失敗しない資金計画と調達ガイド

この記事の監修者

㈱イレブン技術商品部 部長
インストラクター
村上 琴音(ムラカミ コトネ)

株式会社イレブンで商品開発とインストラクターを担当。資格と現場経験を活かし、個人サロンの成長を支援しています。

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エステサロン開業という夢を実現するために、最も重要なのが「資金計画」です。憧れだけで見切り発車すると、開業後すぐに資金ショートという現実に直面しかねません。「私の場合、いくら必要なの?」その不安を解消し、失敗しない資金計画と調達の全てを、多くの女性オーナーを支援してきた(株)イレブンの視点で徹底解説します。

目次

エステサロン開業資金の全体像:初期費用と運転資金の内訳をまず把握

エステサロンの開業資金計画は、「初期費用」と「運転資金」の2つに分けて考えることが必須です。なぜなら、開業時に必要なモノ(機器や内装)の費用だけでなく、開業直後から利益が安定するまでの「耐える」ための資金も必要だからです。例えば、初期費用だけでギリギリだと、お客様が来ない時期に家賃が払えず、即廃業に繋がります。この2つの内訳を正確に把握することが、黒字経営への第一歩となります。

初期費用の内訳:物件取得・内装・機器・備品・広告・資格登録費

初期費用とは、サロンをオープンする「まで」にかかる全ての費用のことです。抜け漏れなくリストアップすることが重要になります。

  • 物件取得費
    保証金、礼金、仲介手数料、前払家賃など。
  • 内装・設備工事費
    デザイン費、内外装工事、電気・水道・ガス工事費。
  • 美容機器導入費
    メインとなる業務用美容機器、スチーマーなど。
  • 備品・消耗品費
    施術ベッド、タオル、ガウン、化粧品、什器、PCなど。
  • 広告宣伝費
    Webサイト制作、チラシ、ポータルサイト掲載料など。
  • その他
    法人登記費用、資格登録費、当面の雑費など。

特に美容機器や内装はこだわり始めると高額になりがちです。まずは「最低限必要なもの」と「こだわりたいもの」を仕分けし、優先順位をつける冷静な判断が求められます。

運転資金の目安:6〜12か月分の家賃・人件費・商材・光熱費

運転資金とは、サロンをオープンした「から」経営を維持していくための費用です。開業後すぐに集客が軌道に乗るとは限らないため、最低でも6ヶ月分、理想は12ヶ月分の運転資金を確保すべきです。

  • 固定費
    家賃、人件費(スタッフ雇用時)、機器のリース料、広告宣伝費、通信費など。
  • 変動費
    化粧品などの商材仕入れ費、水道光熱費、消耗品費、決済手数料など。

仮に売上がゼロでもサロンを維持できる資金があるという安心感が、焦らず的確な経営判断を下すための土台となります。

個人サロン/店舗型で変わる「資金の重み」と損益分岐点

開業資金の額は、サロンの形態によって全く異なります。自宅の一部を使う個人サロンなら初期費用(特に物件取得費や内装費)は最小限に抑えられますが、生活感が出てしまい客単価を上げにくい側面もあります。一方で、店舗型は初期費用が高額になりますが、非日常感を演出しやすく高単価メニューも設定しやすいです。

【形態別 コスト・特徴比較表】

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比較項目個人サロン(自宅・賃貸マンション)店舗型(テナント)
初期費用低(数十万~300万円程度)高(500万~1,500万円以上)
主な費用美容機器、備品、広告費物件取得費、内装工事費、美容機器
損益分岐点低い(固定費が少ないため)高い(家賃・人件費の負担大)
メリット・低リスクで開業可能 ・家賃負担がない(自宅の場合)・非日常感を演出しやすい ・集客しやすい立地を選べる
デメリット・生活感が出やすい ・集客に工夫が必要・固定費の負担が重い ・内装などに多額の投資が必要

どちらが良いかはコンセプト次第ですが、それぞれ「損益分岐点(最低限必要な売上)」が異なるため、自分の形態に合わせた資金計画が必須です。

女性オーナー目線の“抜け漏れコスト”:安全・健康・家庭都合に備える

一般的な資金計画では、女性オーナー特有の「抜け漏れコスト」が見落とされがちです。具体的には、お客様とご自身の「安全」を守る費用、施術者としての「健康」を維持する費用、そして「家庭」と両立するための費用です。これらは単なるコストではなく、長く安心して経営を続けるための「投資」です。この視点を持つことが、女性オーナーのサロン経営を成功に導く鍵となります。

防犯・セキュリティ費(鍵・カメラ・夜間動線・非常時対応)

女性オーナーや女性のお客様が安心して過ごせる空間作りは、信頼に直結します。特にマンションの一室や夜間営業を行う場合、防犯対策費は絶対に削ってはいけません。オートロックであっても、玄関の鍵を二重にする、防犯カメラや人感センサーライトを設置する、緊急時に通報できるシステムを導入するなど、具体的な対策が必要です。お客様が「ここは安全だ」と感じる配慮こそが、リピートに繋がる見えないサービス品質となるのです。

働き方と健康配慮(施術者の体負担対策、妊活・産前産後の計画)

オーナー自身が施術者である場合、「自分が倒れたら売上がゼロになる」という最大のリスクを考慮すべきです。無理な施術体制は体を壊す原因となり、結果的にサロンを閉めることになります。例えば、体への負担が少ない施術ベッドやスツールの導入、定期的なメンテナンス費用も計画に含めましょう。また、妊活や産前産後などライフイベントも見据え、一時的に休業しても困らないよう、運転資金に余裕を持たせた計画が不可欠です。

育児・介護との両立費(時短シフト、託児・外注、家事代行の予備費)

家庭と仕事の両立を目指す女性オーナーにとって、両立のための費用は「必要経費」です。育児や介護のために営業時間を短縮する場合、その分の売上減少も考慮した損益計画が求められます。また、どうしても手が回らない時に備え、一時的な託児費用、サロンの清掃やタオル洗濯の外注費、家事代行サービスの利用なども「予備費」として組み込んでおきましょう。全てを一人で抱え込まず、外部の力を借りることも経営戦略の一つです。

多くの女性オーナーが、ご自身の健康や家庭との両立を「気合い」で乗り切ろうとしてしまいます。しかし、経営は「継続」が命です。ご自身の体調不良や、お子様の急な発熱などで休業せざるを得ない事態は必ず起こります。そのための「予備費」や「外注費」は、安定した経営を続けるための最も重要な「投資」だと考えて計画に組み込んでください。

物件選びで資金が劇的に変わる:賃料・保証金・原状回復の“見えない固定費”

エステサロンの開業資金で最も大きな割合を占め、かつ経営を圧迫するのが「物件関連費」です。毎月の賃料はもちろん、契約時の保証金や退去時の原状回復費といった「見えない固定費」が、資金計画を大きく左右します。立地や内装の状態を正しく見極めることが、資金繰りを安定させる上で極めて重要になります。

スケルトン/居抜き/サロン専用区画のコスト比較ポイント

物件には大きく分けて3タイプあり、コスト感が全く異なります。「スケルトン」は内装が何もないため自由度が高いですが、内装費が数百万単位でかかります。「居抜き」は前の設備を使えるため初期費用を抑えられますが、希望の動線でなかったり、設備の修繕費が逆にかさむリスクもあります。「サロン専用区画」は設備が整っていますが、その分賃料が高めに設定されがちです。

【物件タイプ別 コスト・特徴比較表】

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物件タイプ初期費用(内装費)賃料相場メリットデメリット
スケルトン高額標準・レイアウトの自由度が最も高い ・新品の設備を導入できる・内装工事費が数百万単位で必要 ・工事期間が長くかかる
居抜き低額やや高め・内装や設備を流用でき、コスト減 ・早期にオープン可能・レイアウトの自由度が低い ・設備の老朽化、修繕リスクあり
サロン専用区画標準高め・内装や設備が整っている ・サロン運営に適した規約が多い・賃料が割高 ・差別化がしにくい場合も

それぞれのメリット・デメリットを、ご自身のコンセプトと予算に照らして比較検討しましょう。

原状回復と退去費の見積もり方|敷金だけで判断しない

物件契約で最も注意すべきなのが「原状回復義務」です。これは「借りた時の状態に戻して返す」義務のことで、敷金だけでは到底賄えない高額な費用を請求されるケースも少なくありません。特に、内装を大きく変更した場合や、水回りを増設した場合などは注意が必要です。契約書を細かくチェックし、どこまでが義務の範囲か、可能なら契約時に退去費用の見積もり基準を確認しておくことが、将来の資金ショートを防ぐ最大の防御策です。

女性顧客が通いやすい立地条件と集客効率の関係

「家賃が安いから」という理由だけで郊外や分かりにくい立地を選ぶのは危険です。なぜなら、立地の悪さをカバーするために、余計な「広告宣伝費」がかさんでしまうからです。女性のお客様が「仕事帰りや買い物のついでに寄りやすい」「夜でも安心して通える」といった立地は、それ自体が強力な集客ツールとなります。多少家賃が高くても、集客効率が良く広告費を削減できるなら、トータルコストは安くなるという視点を持つことが大切です。

機器・商材の選定で資金効率を最大化:導入・保守・消耗品のトータルコスト

エステサロンの心臓部である美容機器や商材選びは、資金効率を最大化するチャンスです。私たち(株)イレブンのような専門家から見て、最も危険なのは「導入時の価格」だけで判断してしまうこと。本当に見るべきは、導入費、保守費、消耗品費まで含めた「トータルコスト」です。賢い機器選定が、開業後のキャッシュフローを大きく改善させます。

機器は“購入・リース・レンタル”どれが最適?損益とキャッシュの比較

美容機器の導入方法は一つではありません。「購入(現金・ローン)」は総支払額は安いですが、手元のキャッシュが一気になくなります。「リース」は月額費用で導入でき、経費計上も可能ですが、契約期間の縛り(通常5〜7年)があります。「レンタル」は短期間で試せますが、月額費用は最も割高になります。

【美容機器 導入方法比較表】

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導入方法初期費用月額費用総支払額メリットデメリット
購入高額なし (ローン除く)最も安い・所有物になる ・資産計上できる・手元の現金が一気になくなる ・融資審査が必要な場合も
リースほぼゼロ一定やや高い・手元の現金を温存できる ・全額経費計上可能・中途解約不可(原則) ・リース会社の審査あり
レンタルほぼゼロ高額最も高い・短期間で試せる ・いつでも解約可能・月額コストが非常に高い ・所有物にならない

開業当初はキャッシュを温存できるリースを選び、経営が軌道に乗ったら買い取るなど、ご自身の資金状況に合わせた最適な選択をアドバイスします。

メニュー設計から逆算する機器選び|単価・回転率・リピート率の視点

「多機能で最新の機器=儲かる」とは限りません。重要なのは、ご自身のサロンの「高単価メニュー」や「高リピートメニュー」から逆算して、本当に必要な機器を選ぶことです。例えば、痩身をメインにするなら特定の高周波機器、フェイシャルを極めるなら高機能な複合機、という具合です。機能が多すぎても使いこなせなければ宝の持ち腐れです。メニューの単価と回転率を上げ、お客様が「また来たい」と思う結果を出せる機器を見極めることが成功の鍵です。

保守・保証・代替機の条件で稼働ロスを減らす

美容機器は、万が一故障すればその瞬間に売上がゼロになる「機会損失」を生みます。(株)イレブンが重視するのは、導入後の「保守・保証」体制です。機器が故障した際、すぐに修理対応してくれるか、修理中に「代替機」を貸し出してくれるか。この条件が、サロンの稼働ロスを最小限に抑えます。導入価格が安くても、保守対応が悪く1週間も機器が止まってしまえば、リース料と機会損失の二重苦になります。安心して稼働し続けられるサポート体制こそが重要です。

集客・ブランディングにかける初期広告費と毎月の維持費

どれだけ良い機器や内装を揃えても、お客様に来ていただかなければ売上は立ちません。開業資金計画において、集客のための「広告宣伝費」は絶対に削ってはいけない「投資」です。開業直後にスタートダッシュをかけるための初期費用と、その後も継続的に集客するための月々の維持費、両方を計画に組み込む必要があります。

オープン前後3か月の広告計画:LP・SNS・MEO・チラシの予算配分

集客の勝負は、オープン前後3ヶ月で決まると言っても過言ではありません。この期間は、認知度を一気に高めるために集中的な投資が必要です。例えば、サロンの顔となるLP(ランディングページ)制作、ホットペッパービューティーなど集客ポータルへの掲載、Googleマップ対策(MEO)、ターゲット層に合わせたSNS広告、近隣へのチラシ配布など、施策は多様です。これらにどれだけ予算を配分するか、戦略的な計画が求められます。

女性客に刺さるクリエイティブ:ビフォーアフター、安心・清潔の訴求

広告費をかけても、その中身(クリエイティブ)がターゲットに響かなければ意味がありません。エステサロンを探す女性客が求めているのは、「結果(ビフォーアフター)」と「信頼(安心・清潔感)」です。ただ美しいだけのモデル写真より、リアルな施術事例や、オーナーの想いが伝わる文章、徹底した衛生管理の様子が伝わる写真の方が心に刺さります。ご自身のサロンの「強み」と「安心感」を的確に伝えるクリエイティブ制作が、広告効果を最大化させます。

紹介・物販・回数券で広告依存を下げる“資金にやさしい仕組み”

毎月高額な広告費を払い続ける経営は、資金繰りを圧迫します。目指すべきは、広告費への依存度を下げる「資金にやさしい仕組み」作りです。具体的には、一度来てくれたお客様が「友人を紹介したくなる」ような感動体験の提供、リピート率を高める「回数券」の設計、そして施術以外でも売上を立てられる「物販」の強化です。これらLTV(顧客生涯価値)を高める施策こそが、サロン経営を長期的に安定させるのです。

資金調達の選択肢:自己資金・融資・補助金・女性起業家支援の活用術

開業資金の全てを自己資金で賄う必要はありません。むしろ、手元の現金を残すためにも、融資や公的支援を賢く活用することが重要です。特に女性の起業を支援する制度は多く存在します。自己資金と借入のバランスを考え、利用できる制度は積極的に活用し、余裕を持った資金計画を立てましょう。

自己資金の目安と貯め方:開業後キャッシュショックを避ける比率設計

自己資金は、開業資金総額の最低でも3分の1、できれば半分程度は用意したいところです。なぜなら、融資を受ける際も自己資金の額は「本気度」として審査で見られますし、何より開業後のキャッシュショック(資金枯渇)を避けるためです。毎月の積立額を決め、開業という目標から逆算して計画的に貯蓄しましょう。手元の現金が潤沢にあることが、不測の事態にも対応できる経営者の「心の余裕」に繋がります。

創業融資の通り方:事業計画・資金使途・返済計画・担保/保証の基本

開業資金の調達で最も一般的なのが、日本政策金融公庫の「新創業融資制度」です。この融資審査で最も重要なのが「事業計画書」です。なぜこのビジネスをやるのか(情熱)、どれくらいの売上見込みがあるか(市場分析)、資金を何に使うか(資金使途)、どう返済していくか(返済計画)を、具体的かつ現実的に示す必要があります。私たちのような専門家は、この「想い」と「数字」を繋ぎ、説得力のある事業計画書作りもサポートしています。

引用:日本政策金融公庫「新創業融資制度」

補助金・助成金・自治体の女性起G家支援の探し方と注意点

返済不要の「補助金・助成金」も積極的に活用すべきです。「小規模事業者持続化補助金」のように販促費に使えるものや、各自治体が独自に設けている「女性起業家支援」の制度もあります。ただし、多くは「後払い(一旦全額を自分で支払い、報告後に給付)」であること、申請期間が限られ審査もあることに注意が必要です。中小機構が運営する「J-Net21」などで情報をこまめにチェックしましょう。

引用:J-Net21(中小機構)「支援情報ヘッドライン」

“資金が尽きない”ための損益計画:価格設定・回数券・物販で黒字化を早める

資金調達(守り)と同時に、開業後すぐに黒字化するための「損益計画(攻め)」も極めて重要です。「資金が尽きない」状態とは、売上がコストを上回り、手元の現金が増え続ける状態を指します。そのためには、適切な価格設定、リピートを生む仕組み、そして施術以外の収益源を持つという戦略的な視点が不可欠です。

損益分岐点の出し方と3パターンシミュレーション(低・標準・高稼働)

損益分岐点とは「売上=コスト」となり、利益がゼロになる売上ラインのことです。まずは家賃やリース料などの「固定費」と、商材費などの「変動費」を全て洗い出し、最低限「月に何人のお客様に、いくらの単価で」施術すれば赤字にならないかを計算しましょう。さらに、稼働率が低い場合、標準の場合、高い場合の3パターンでシミュレーションすることで、経営の現実的な見通しと対策を立てることができます。

【損益分岐点シミュレーション(例)】
(※固定費30万、変動費率30%の場合)

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稼働パターン① 売上② 変動費 (売上の30%)③ 限界利益 (①-②)④ 固定費⑤ 営業利益 (③-④)
損益分岐点42.9万円12.9万円30万円30万円0円
低稼働30万円9万円21万円30万円-9万円 (赤字)
標準稼働70万円21万円49万円30万円+19万円 (黒字)
高稼働100万円30万円70万円30万円+40万円 (黒字)

単価戦略:セット化・会員制・定額制でLTVを伸ばす

単発の施術だけで売上を積み上げるのは非効率です。お客様一人当たりから生涯にわたって得られる利益(LTV)を最大化する単価戦略が求められます。例えば、複数の施術を組み合わせた「セットメニュー」による高単価化、月額制で通い放題や特典をつける「会員制(サブスクリプション)」の導入、効果が出るまでの「回数券」の販売などです。お客様の満足度を高めつつ、サロンの売上を安定させる仕組みを構築しましょう。

物販の粗利で固定費を吸収する設計(在庫回転と仕入れ交渉)

エステサロン経営において「物販」は、施術以外の第二の収益源として非常に強力です。物販の粗利(売上から仕入れ値を引いた利益)で、家賃などの固定費の一部を吸収できるような設計が理想です。ただし、闇雲に商品を仕入れると不良在庫となり、逆に資金繰りを圧迫します。施術との関連性が高く、お客様の悩みを解決できる「本当に良い」商材を見極め、在庫回転率を意識しながら仕入れをコントロールすることが重要です。

キャッシュフロー管理の実務:毎日の入出金と税務・社会保険の見落とし

サロン経営では「利益が出ていること(損益計算書)」と「手元に現金があること(キャッシュフロー)」はイコールではありません。「勘定合って銭足らず」にならないよう、日々の現金の出入りを管理する実務が不可欠です。特に開業初年度は、税金や社会保険など「後から来る支払い」の見落としに注意が必要です。

現金・カード・キャッシュレスの手数料と入金タイムラグ管理

お客様の利便性を考えれば、クレジットカードやキャッシュレス決済の導入は必須です。しかし、これらには3〜5%程度の「決済手数料」がかかること、そして売上が現金として振り込まれるまでに「入金タイムラグ(数週間〜1ヶ月)」があることを理解しなくてはなりません。このタイムラグを考慮せず、カード売上をすぐに使ってしまうと、手元の現金が足りなくなる原因になります。入金サイクルを把握し、手数料をコストとして予算に組み込むことが重要です。

開業初年度の税金・社会保険の“後から来る”支払いに備える

開業初年度に利益が出ると、その利益にかかる「所得税・住民税」や「事業税(個人事業税)」の支払いは、翌年にやってきます。また、法人化した場合や従業員を雇用した場合は「社会保険料」の支払いも発生します。これらを「利益が出たから」と使い込んでしまうと、翌年の納税時期に資金が足りなくなるのです。利益の一部は、必ず翌年の支払い用に「納税積立」として別口座に分けておく習慣をつけましょう。

引用:国税庁「個人事業の開業届出・廃業届出等手続」

資金ショートの早期サインと対処(固定費見直し・仕入れ調整・価格改定)

資金ショートは突然起こるのではなく、必ず「早期サイン」があります。例えば、売上が下がっていないのに預金残高が減り始めた、支払いのために別のカードでキャッシングした、商材の仕入れを先延ばしにした、などです。このサインを見逃さず、早期に対処することが命運を分けます。まずは家賃やリース料など「固定費」の見直し、無駄な仕入れの調整、そして勇気を持った「価格改定」など、すぐに行動に移すことが重要です。

イレブンからのアドバイス

開業オーナーが最も見落としがちなのが、「翌年に来る税金」の支払いです。開業1年目に売上が好調でも、その利益にかかる税金(所得税・住民税など)は翌年に請求されます。この分を確保せず使い込んでしまい、2年目に資金ショートするケースが本当に多いのです。利益が出たら、必ず一定割合を「納税用」として別口座に移すことを徹底してください。

失敗事例から学ぶ資金計画の落とし穴

多くのサロン開業を支援してきた私たちは、残念ながら「資金計画の失敗」で撤退する例も見てきました。夢の実現を妨げる「よくある落とし穴」を事前に知っておくことで、ご自身の計画に潜むリスクを回避することができます。失敗事例から学ぶことは、成功への最短距離です。

内装にかけすぎ/広告に頼りすぎ/機器の多重リースによる固定費過多

最も多い失敗が「固定費の過大化」です。特に女性オーナーは内装にこだわりがちですが、そこで予算を使いすぎ、運転資金を圧迫するケースが後を絶ちません。また、集客をポータルサイトの広告に頼りすぎ、毎月数十万円の広告費が重荷になることもあります。さらに、次々と新しい機器をリースで導入し、気づけばリース料だけで損益分岐点が跳ね上がっている「多重リース」も危険なパターンです。

メニュー過多で在庫と教育コストが膨張するパターン

「お客様のどんな要望にも応えたい」という想いからメニューを増やしすぎ、失敗するケースもあります。メニューが増えれば、それぞれに必要な商材の「在庫コスト」が膨らみます。さらに、スタッフを雇う場合は全てのメニューの「教育コスト」もかかり、品質も安定しません。結果、「何が強みかわからないサロン」となり、お客様が離れていきます。メニューを絞り込み「専門性」を磨くことこそが、コストを抑え利益を上げる道です。

安全・衛生・保険コストの過小見積もり

お客様の安全や衛生に関わるコスト、そして万が一の事故に備える保険料を軽視するのも危険な落とし穴です。「お客様に怪我をさせてしまった」「商材が肌に合わずトラブルになった」といった際、「損害賠償責任保険」に未加入だと、たった一度の事故で廃業に追い込まれます。消毒・衛生管理の費用や、各種保険料は、サロンの信頼を守るための「絶対に必要なコスト」として、必ず資金計画に含めてください。

開業チェックリスト:女性オーナーのための資金・体制・安全の最終確認

ここまで開業資金について詳しく解説してきました。最後に、夢の実現に向けて「本当に準備が整っているか」を最終確認するためのチェックリストをご用意しました。資金面、体制面、そして安全面。女性オーナーとして安心してスタートを切るために、一つずつ確認してみてください。

資金面チェック(初期費・運転資金・予備費・返済計画)

  • 初期費用(物件・内装・機器)の見積もりは揃っていますか?
  • 運転資金は最低6ヶ月分(理想は12ヶ月分)確保できていますか?
  • 家族の事情や自身の体調不良に備えた「予備費」も計上していますか?
  • 融資の返済計画は、売上が低い時期も想定した無理のないものですか?
  • 翌年の税金支払いのための「納税積立」計画はありますか?

これらの項目が全て「YES」になって初めて、安心して開業のスタートラインに立てます。

人・仕組みチェック(予約・教育・代替稼働・緊急時連絡網)

  • 予約管理や顧客管理のシステムは決まっていますか?
  • スタッフがいる場合、教育マニュアルは整備されていますか?
  • ご自身が動けない時(体調不良・育児等)、代わりのスタッフ(代替稼働)は確保できますか?
  • お客様や関係者への「緊急時連絡網」は整備されていますか?

オーナー一人に依存する属人的な運営から脱却する仕組み作りが、長期経営の鍵です。

衛生・法令・保険チェック(賠償責任・労災特別加入・防犯対策)

  • 保健所の衛生基準(必要な届け出)はクリアしていますか?
  • 万が一の施術事故に備える「損害賠償責任保険」には加入しましたか?
  • オーナー自身が加入できる「労災保険の特別加入」は検討しましたか?
  • お客様が安心して通える「防犯対策」(鍵、カメラ等)は万全ですか?

これらはサロンの「信頼」の土台となる部分です。

㈱イレブンの開業支援|機器導入×資金計画×販促で“翌日から回る”体制づくり

私たち(株)イレブンは、単に美容機器を販売するだけではありません。女性オーナーの皆様が「開業翌日からしっかりと売上を立て、黒字経営を続けられる」体制づくりを、資金計画から販促までトータルで支援します。多くのサロンの資金繰りを見てきた私たちだからこそ、現実的で失敗しない開業サポートが可能です。

機器選定と導入講習で早期収益化を支援

私たちは、サロンのコンセプトと資金計画に最適な「稼げる」機器選定をサポートします。さらに、導入時には機器の効果を最大限に引き出し、お客様に感動を与えられる「導入講習」を徹底的に行います。これにより、オーナー様は導入後すぐに自信を持って高単価メニューを提供でき、早期の収益化(投資回収)を実現できます。開業直後の売上をしっかり立てることが、資金繰りを安定させる一番の近道です。

リース・保守・代替機でキャッシュと稼働を安定化

開業当初は、手元のキャッシュを温存することが最優先です。(株)イレブンでは、資金計画に合わせた「リース」や「ローン」のご提案も可能です。月々の支払いを平準化し、資金繰りを安定させます。また、万が一の故障時にも迅速な「保守対応」や「代替機」の提供を行うことで、売上の機会損失を最小限に。安心してサロン稼働を続けられる体制が、オーナー様の精神的な安定にも繋がります。

集客導線(LP・SNS・物販設計)まで伴走するサポート体制

機器を導入しても、集客できなければ意味がありません。私たちは、その機器の魅力をターゲットに伝えるLP(ランディングページ)の制作アドバイス、効果的なSNS活用法、さらには粗利を稼ぐ「物販」の設計まで、集客導線全体を一緒に考えます。機器という「点」ではなく、開業から黒字化までの「線」で伴走するサポート体制。それが(株)イレブンの強みです。

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この記事を書いた人

イレブンのメディア事業部は、美容業界の最新トレンドや製品情報を取材・編集し、自社メディアやSNSで分かりやすく発信。サロン経営者とエンドユーザーを繋ぐ情報ハブとしてブランド価値と売上向上を継続的にサポートします。

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